〜暮らし〜 ありのまんま そのまんま

*生と死から

あたしは、祖父が危篤状態になったと連絡を受けた時、息子を連れて、祖父の元に車を走らせた。
息子は、今まで会いに行く度に、可愛がってニコニコ笑っていた、ひぃじいちゃんを想像していた事だろう。
でも現実は、酸素マスクを付け、点滴、心電図…
初めて見る人間の切羽詰まった姿に、身が竦む思いだったに違いない。
息子が小学1年の秋だった。

あたしは、人の生き死にを飾ろうとも、ごまかして息子に伝えようとも思わない。

生まれて来たら必ずいつか死ぬ。
ありのまんま、そのまんまが全てや。

祖父が息を引き取り葬儀の準備が行われる時、あたしの両親は、息子を焼き場に連れて行く事に、可愛さあって、余りいい顔はしなかった。
あたしは息子に、
辛くて怖くて悲しいかもしれんけど、ひぃじいちゃんのホンマの最後まで付き合うか。
と聞いていた。

焼き場行って焼かれたらどうなるん?
聞く息子に、
焼かれたら、お骨になって、ひぃじいちゃんは形がなくなるんや。
でもな、あんたのココでは、ずーっと生きてるんやで。
そう息子の胸をつついて言うと
最後まで行く。
ひぃじいちゃん好きやったし、と言ってついてきた。

ガシャンと棺が扉に飲み込まれるのを、神妙な顔で見ていた息子。
あれから7年…

中学2年になった息子は、毎朝、欠かさず、祀ってある、ひぃじいちゃんの写真に向かい頭を下げる
何、お願いしてんのと聞くと、

ひぃばあちゃん守ってあげてやって頼んでんねん…

ヤバイ、ちょっとグッときた

祖母は、祖父が亡くなってからも頑張ってる
もしかしたら息子の願いを、じいちゃん聞いてくれたんかな
息子の先々も、頼むわ。じいちゃん。